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カラー・ストーンについて

 今でこそ宝石といえば、無色透明のダイヤモンドを思い浮べる方が多いと思いますが、実はダイヤモンドが宝石の女王として讃えられるようになったのは、近世により効果的なカットと研磨の技術が発案されてからなのです。高度な研磨技術をもたなかった時代、 古代から人の心をとらえ続けていたのは、むしろ生まれながらにして美しい色彩を持つカラー・ストーンでした。
歴史上、しばしばカラー・ストーンがさまざまな事件の立会人、時には主人公であったことからしても、カラー・ストーンがいかにその魅惑の色と輝きで人々の心を魅了し続け、 時に人と時代の運命を変えることほどの魔力を秘めたものであったのかというのがよくわかります。 しかし、中には非常に似たような色や特長を持ち、最近は色味や輝きを増すための処理の方法も発達したために、一般の方には識別しずらく、 ときに混乱を招くことがあることも事実です。
 ここでは、代表的なカラー・ストーンについて、その成り立ちや特長、ご購入の際のチェックポイント、現在広く行われている処理方法などついて簡単にお話させていただきたいと思います。


 

◆ルビー
◆サファイヤ
◆ファンシーカラー・サファイヤ
◆エメラルド
◆オパール
◆ガーネット・グループ
◆アクアマリン
◆アレキサンドライト
◆クリソベリル・キャッツアイ
◆スター・サファイア&スター・ルビー

◆タンザナイト(ブルー・ゾイサイト
◆パライバトルマリン
◆ヒスイ
◆トルマリン
◆トパーズ
◆ペリドット
◆水晶&めのう
◆さんご
◆こはく
◆外観を美しく見せるための処理について


ルビー

●特長
ルビー その燃え盛る炎がほとばしるような輝きゆえ、文字通り持つ人の心に火をつけ虜にするルビーは、古来より情熱、勇気、そして不老不死の象徴として珍重されてきた貴石中の貴石です。
ルビーという名は、ラテン語で「赤」を意味する"ruber"から来ています。その真っ赤に輝くルビーが、 実は青いサファイヤと全く同じコランダムという鉱物からできているということは今日ではご存知の方も多いことでしょう。 コランダムは元来、無色の鉱物ですが、生成の過程で取り込まれるある種の元素の微妙な割合の違いによって、さまざまな色を発するようになるのです。 その中で、赤色だけをルビー、その他は全て色名を冠してサファイヤと呼ばれます。 コランダムはダイヤに次ぐ硬度を持ち、ダイヤが宝石の女王となった今でも、 ルビーとサファイヤはそれ同様の高い価値を保ち続けています。

●原産国
「ピジョン・ブラッド」(鳩の血)と呼ばれる最高品質のルビーは、主にミャンマーで産出されます。他の産地はタイ、ベトナム、カンボジアと東南アジアに集中していますが、最近はケニヤ、 タンザニアなどアフリカ大陸の一部でも良質のルビーが採掘されるようになりました。

●ご購入チェックポイント
できるだけ濁りのない、どこから見ても同じように見える純粋な赤色のものを選ぶのがポイントです。「ピジョン・ブラッド」を頂点とすると、グレードが低くなるほどよりピンク味がかかり、 また黒味を帯びてきます。


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サファイヤ

●特長
サファイヤ 9月の誕生石サファイヤは、同じコランダムからできているにもかかわらず、ルビーと対照的な冴え冴えとした落ち着きのあるブルーから、慈愛・徳望を意味します。特に宗教関係者の護符としてローマ法王をはじめとする高位の聖職者が指輪としてはめていたのを例として、古くから争いを避け、平和と調和を望む王侯貴族の間で珍重されてきました。サファイヤという名称の語源も、ラテン語の「青」から来ています。吸い込まれるような深い青色は、見る人、身に着ける人のこころに安らぎを与え、誠実さをはぐくむヒーリング・パワーを持っています。

●原産国
インドのカシミール地方、ミャンマーで産するものが高級品とされています。他にスリランカ、タイ、マダガスカル、オーストラリアが主要産出国です。

●ご購入チェックポイント
ルビー同様、サファイヤも色が最大のチェックポイントです。最良のものは「コーンフラワー」(矢車草)とよばれる紫がかったブルーですが、ルビーの「ピジョン・ブラッド」同様、現在はほとんど産出がなく、市場に出回ったとしてもかなりの高値となっているのが現状です。色が濃く、すがすがしい深みと透明感をあわせ持ち、黒味や緑味の少ないものを選ぶのがポイントです。


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ファンシー・カラー・サファイヤ

パパラチア・サファイヤ サファイヤ、といえば誰もが上記の深いブルーをイメージすると思いますが、ほかにもピンク、オレンジ、イエローなどいろいろな色のパターンがあるのをご存知ですか? これもやはりコランダムの中に含まれる微量の元素のさまざまな組み合わせで起こる自然の華麗ないたずらです。これらのブルー以外のサファイヤを総称して「ファンシー・カラー・サファイヤ」と呼んでいます。 中でも、ピンクとオレンジが微妙にブレンドされた色調によってできている「パパラチア・サファイヤ」は、本来スリランカでしか取れないというその希少性の高さから最高位にランクされます。
その華麗にしてデリケートな色彩は「蓮の花」を意味するその名の通りですが、もともと産出量が少ない上に、最近は処理法の発達により、似たような色の石を比較的容易に作れるようになったことから、非常に鑑別の難しい石となっております。「セラジュール」では、パパラチア・サファイヤに対する化学的処理方法その他の問題に関する業界のコンセンサスは未だ確立されていないとみなしており、よってお客様に不必要なご懸念を与えないためにも、目下のところお取り扱いは休止させていただいております。


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エメラルド

●特長
エメラルド ダイヤ、ルビー、サファイヤと共に4大宝石を構成するエメラルドは、もっとも古くから宝石取引の場に登場する貴石で、その存在はすでに古代バビロニア、古代エジプトの時代に認められます。クレオパトラのお気に入りの宝石だったことも有名です。大航海時代の16世紀にスペイン人が中南米を征服したことから、ヨーロッパに持ち込まれるようになり、その神秘的で深い緑色が瞬く間に人々の心をとりこにしたのです。エメラルドはベリル(緑柱石)という鉱物に属し、その中で最も重要な変種ですが、さわやかな海のブルーをたたえたアクアマリンが同種のベリルであることはあまり知られていません。このように、ベリルもコランダム同様、その生成環境によりさまざなま微量元素を取り込むことによって、レッド、イエロー、ゴールデンなどの各色ベリル、シャトヤンシー効果をもつ各色キャッツ・アイ、そしてモルガナイト(ピンク色)、ヘリオドール(イエロー)、ゴッシェナイト(無色)などの幅広いヴァリエーションを生み出しています。エメラルドは、過酷な条件のもとで生成されるので、結晶の大きさも小さく、多数のインクルージョン(内包物)が取り込まれため、ベリルの硬度が高い割には衝撃に弱く、取り扱いには慎重さが必要です。

●原産国
最高級のものは、コロンビア産である場合が多いですが、ブラジル、ザンビア、マダガスカル、ジンバブエ、ロシアなどでも産出されます。

●ご購入チェックポイント
濃すぎず、薄すぎず、黒味もない深く鮮やかな緑色たたえたものを選ぶのがポイントです。透明度も大切ですが、インクルージョンはいわばエメラルドの宿命なので、欠点ではなく特長としてとらえ、少ないに越したことはありませんが、美しさを損なうことがなければあまり神経質になる必要はありません。


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オパール

ブラック・オパール ●特長
日本人のオパール好きは世界的にも有名ですが、欧米ではその特殊で気まぐれな色彩から、一時期「不幸をもたらす色」として疎まれたこともありました。それはともかく、石英と水が緊密に詰まったその特異な構造から生まれる遊色効果(プレイ・オブ・カラー)は、他の宝石には見ることのない代えがたい魅力です。ボディ・カラーが黒色のものをブラック・オパール、薄く沈殿したオパール層を褐鉄鉱母岩とともにカットしたものをボルダー・オパール、白色をホワイト・オパール、オレンジ系のものをファイヤ・オパール、ほとんど無色透明のものをウォーター・オパールと分類しています。ファイヤ・オパールとウォーター・オパールは、メキシコで産出されるが多いので、メキシコ・オパールと総称されますが、これはあくまで俗称です。日本ではほとんど知られていませんが、コモン・オパールという遊色効果のないオパールも欧米では人気があります。

●原産国
現在、良質のブラック・オパールの産地はオーストラリア東部に限られています。他の種類のオパールはメキシコを始め、ブラジル、アメリカで産出されています。

●ご購入チェックポイント
色合いがさまざまで、かつ混ざり具合にバランスが取れ、赤斑が多いほど評価が高まりますが、色味は個人の好みもありますし、全ての色合いが含まれていなくても表面が曇りがなく、透明度にあふれていれば一級品といえる石もあります。一般的に同等の品質であればブラック・オパールの方が価値があるとされますが、赤色の強いファイヤ・オパール、遊色効果の強いウォーター・オパールも希少性は高く、高く評価されます。


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ガーネット・グループ

グリーン・ガーネット 「ざくろ石」として日本人にもよく知られているガーネットは、友情と忠節を表し、また比較的手に入りやすく硬度にも優れていることから、ギリシア、ローマの昔から護符として盛んに身につけられました。近年は従来のワイン・レッド以外にもさまざまな色の変種がジュエリーに用いられるようになり、「セイロン・ルビー」などといった似た色の貴石の名前を借りたフォルス・ネーム(偽りの名前)で呼ばれることもあり、混乱を招きやすくなっています。なじみ深い濃い赤色だけでもバイロープ、ロードライト、アルマンディンなどの種類があり、他に美しいオレンジ色を示すスペサルディンがあります。さまざまな色合いを示すグロッシュラー・ガーネットの中でも特に透明なグリーンを示すツァボライトは、エメラルドに似た石としてまたたくまに人気が出ました。デマントイド・ガーネットは、ぬめりのある緑色の中に浮かび上がる虹色の色彩ゆえに、コレクター垂涎の的となっています。

●原産国
タンザニア、アメリカ、ケニア、スリランカ、ブラジル、チェコ、ミャンマーなどたくさんの国で産出されています。

●ご購入チェックポイント
ルビーの鮮烈で情熱的な赤とちがって、おちついた温かみのある濃い赤がガーネットの特長です。あまり黒すぎず、淡すぎず、鮮やかな色彩のものを選んでください。各色ガーネットは、混じりけのない色彩と、透明感がポイントです。


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アクアマリン

アクアマリン ●本来は無色透明のベリルが、わずかに鉄分を含むと清涼感のあるブルーとなり、これがラテン語で海水を意味するアクアマリンとなります。明るい透明感のある水色が人気の石ですが、夜になると光る特性を持ち、特に照明の下では強い光を放つため、昔から「夜の宝石の女王」として、イブニングドレスのためのジュエリーとして珍重されてきました。また、澄み切った海のイメージから航海の無事を祈る石として、船乗りたちに護符として用いられていました。

●原産国
昔からブラジルが良質の産地として知られています。近年、産出がスタートしたモザンビークでは、かなり濃色の「サンタマリア・アフリカーナ」と呼ばれる新種が採掘され、高い評価を得ています。他にナイジェリア、モザンビーク、スリランカなどでも産出されます。

●ご購入チェックポイント
なんといってもその色と透明度がポイントです。同じベリル属でもエメラルドに比べてはるかにインクルージョンが少ないので、それが透明度の高さのキメとなります。現在、アクアマリンは比較的手頃な価格で入手できますので、できるだけ大きめのものを選んで、その透明感をとことん楽しみましょう。


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アレキサンドライト

●特長
アレキサンドライト 昼間は帯茶色がかった濃い青緑色を呈しているのに、夜の人口光の下では暗赤色となるドラマチックな変色効果が魅力のアレキサンドライト。近年、その希少性もあって人気が特に高まっている石です。1830年にウラル山脈のエメラルド鉱山で発見されましたが、その日がロシア皇帝アレキサンダー2世の12歳の誕生日であったため、アレキサンドライトと名づけられました。鉱物学的には、下記キャッツアイと同じクリソベリルに属しますが、その中に内包される酸化クロムが色の効果に影響を与え、光の種類によってグリーンが支配する場合と、レッドが支配する場合があり、それによりあの神秘的な色変わりが現れるのです。

●原産国
最も良質のアレキサンドライトは、ブラジル産とされています。他にスリランカ産もありますが、変色性の点で劣ります。最近ではタンザニアやインドでも採掘が始まり、新しい産出地として注目されています。

●ご購入チェックポイント
他の色石と徹底的に異なるポイントは、アレキサンドライトの命ともいうべき変色の度合いです。もちろん変色の度合いが高いほど評価が高くなりますが、それぞれの色の鮮やかさや透明度にも注目しましょう。


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クリソベリル・キャッツアイ

●特長
クリソベリル・キャッツアイ アレキサンドライトと同じクリソベリルに属しながら、こちらの特長は「シャトヤンシー効果」といわれる一条の光の帯が現れる現象です。その光がまるで猫の目であるようから「キャッツアイ」と呼ばれるようになりました。シャトヤンシー効果を示す石は、他にもたくさんあるのですが、最も美しく映える石はクリソベリルであるため、一般的にキャッツ・アイといえばクリソベリル・キャッツアイを指すようになっています。日本でも「猫目石」として親しまれており、特にアジア諸国では金運を良くする石として昔から大切にされています。同じ鉱物であるアレキサンドライトの中には、色変わりの他にこのシャトヤンシー効果を示すものもあり、「アレキサンドライト・キャッツアイ」として珍重されています。

●原産地
クリソベリル、アレキサンドライトの両キャッツアイ共、スリランカ産が最高級とされています。他にブラジル、タンザニア、インドが主要産地です。

●ご購入チェックポイント
シャトヤンシー効果の現れ方が一番のポイントとなります。光の帯が鮮明で、石の中央部をまっすぐに走っているものを選んでください。色は「ハニー・カラー」と呼ばれる蜂蜜色と、アップル・グリーンの色が最高とされています。こってりとしたテリと、透明感をそこなわない傷の少なさも重要なポイントです。


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スター・サファイヤ&スター・ルビー

●特長
スター・サファイヤ 同じコランダム科に属するサファイヤとルビーを、こんもりとしたカボッション・カットにすると、六条の線がくっきりと浮かび上がるものがあり、それぞれスター・サファイヤ、スター・ルビーと呼んでいます。六条の線が出ることを「アステリズム(星彩効果、スター効果)」といい、これはコランダムの中に含まれるルチル(針状の結晶、シルク・インクルージョン)の光の反射によるものです。他のカラー・ストーンにもアステリズムを示す石はありますが、当然のことながらサファイヤとルビーのものが最も価値が高くなります。

●原産地
スター・サファイヤ、ルビー共にスリランカ、ミャンマー、ベトナム、インドが主要産地です。

●ご購入チェックポイント
色相とアステリズムの出方、およびバランスがポイントであることは言うまでもありません。しかし、色の薄いものほどアステリズムが出やすいという性質があるので、ある程度くっきりした星型が出ているなら色の良し悪しを優先するのがいいでしょう。アステリズムは、交差点がカボッションの山の中心と一致して、ふもとまでくっきりと強い線が現れているのが評価が高くなります。色に関しては、通常のサファイヤ、ルビーに準じますが、サファイヤに関しては、さらに色の濃いインクブルーのものが珍重されます。大きさは、予算の許す限りできるだけ大きなものを選びましょう。あまり小さいとアステリズムが引き立ちません。


タンザナイト(ブルー・ゾイサイト)

●特長
タンザナイト 1967年にタンザニアで発見されたブルー・ゾイサイトは、その紫味をおびた深い青色から「タンザナイト(タンザニアの夜)」というコマーシャル・ネームがつけられ、瞬く間に大きな話題と人気をさらいました。数々の新種宝石のなかでも、もっとも高い評価を受けている宝石です。その名の由来となったタンザニアの名峰・キリマンジャロ山の夕暮れ時の空のごとく、ブルーから紫への微妙な色の変化は、アレキサンドライトの劇的な変色性とはまたおもむきを異にした深い味わいに満ちています。

●原産地
その名が示すように、タンザニアのみに産します。しかし最近は鉱山の閉山が相次ぎ、今後は価値、価格共に急上昇することが予想されます。

●ご購入のポイント
元のプルーが濃く、多色性の強いものが高く評価されます。さまざまな角度から見て、色の変化をチェックしましょう。硬度の低い石なので、時として面キズやインクルージョン(内包物)が目立つことがありますが、あまり神経質にならず、色やカット等全体とのバランスで評価しましょう。



パライバトルマリン

●特長
パライバトルマリン 他に類を見ないほど豊かなヴァラエティを持つトルマリンの中でも、冴えたトルコ・ブルーと蛍光色の輝きを持つヴァリエーションは、他のトルマリンと同列にくくれないその豊かな個性から「パライバトルマリン」として独立した地位を獲得してしまいました。そのネオンのような強烈なブルーは、石にふくまれる酸化クロムと銅という互いに主張の強い元素のぶつかり合いのなせる技。一度見たら忘れられないその色と輝きのとりこになる人も多く、今もっとも人気が高まっている石のひとつです。

●原産地
世界で唯一、ブラジルのパライバ州のみに産するので、この名がつけられました。まだ発見されて10数年しかたっていませんが、早くも今後の採掘が懸念されるようになったため、今後も安定した供給の見込まれないレア・ストーンです。

●ご購入のポイント
言うまでもなくその色相と輝きの度合いがポイントです。大きく分けてブルー系と、ややグリーン味をおびたブルーの2種類がありますが、いずれにせよ鮮やかで、黒味がかっていない石を選びましょう。緑味が強くエメラルドのように見えるのもあまり評価が高くありません。



ヒスイ

●特長
「ジェダイド」と「ラベンダーヒスイ」 そのわび・さびに満ちた雰囲気から、中国や日本では古くから信仰と共にあがめられ、ダイヤモンド以上に珍重された(王朝時代の中国では第一夫人にヒスイが与えられ、ダイヤモンドは第二夫人に与えられたとのことです。)ヒスイですが、まず注意していただきたいのは、一般にヒスイ(ジェード)と総称されているのは「ジェダイド」(硬玉)と「ネフライト」(軟玉)の2種類があり、両者の間には鉱物学的にも宝石としての価値にも大きな違いがある、ということです。「ネフライト」(軟玉)は産出量も豊富で、中国では5000年前からさまざなアクセサリーや玉器が作られてきました。事実、私たちがみやげ物店などでよく見かける地名を冠した「ひすい」あるいは「ジェード」と称されている緑色半透明石のほとんどは、ネフライトであることが多いのです。一方、「ジェダイト」は産出量が少なく、用いられるようになったのも18世紀ごろからです。そこで「ジェイト」をわざわざ「本ヒスイ」と呼ぶ必要があるわけです。ですから購入する時は、慎重な鑑別と注意が必要です。ここでは、当然のことながら「ジェダイド」に的を絞ってお話させていただきます。
ヒスイ漢字で「翡翠」と書き、「翡」は「赤」、「翠」は「緑」を意味するように、ジェダイトには緑色以外にも赤、白、黄色といったたくさんのカラー・ヴァリエーションが見られます。この中でも「ろうかん」と呼ばれる半透明の深く澄んだ緑色のジェダイトは、希少性も高く特に評価されています。ついでラベンター色が続きます。

●原産地
現在、商業的な規模で採掘が行われているのは、ミャンマーのみです。ひすい細工の盛んな中国で産出されているのはほとんど「ネフライト」です。

●ご購入チェックポイント
混じり気のない深みのあるグリーンに、しっとりとしたこくのあるテリを備えていることが大切です。白味や黒味の入っているもの、ムラのあるものはよくありません。ヒスイは石の中に繊維状の結晶が入り組んでいるため、完全な透明にはなりませんが、全体から受ける印象としての透明感は重要です。にごりの感じられないものを選びましょう。


トルマリン

●特長
バイカラートルマリン 現在、市場に出回っているカラー・ストーンの中でも最も豊富なカラー・ヴァリエーションを持つのがトルマリンです。中に含まれるさまざまな内包物とその組み合わせによって時に赤(濃い赤のものは「ルベライト」の名で、ルビーの代用品として用いられました)からピンク系、青系、時にグリーン系、ヴァイオレット、ブラウン、黒に無色と実に多彩な変化をもたらします。中にはひとつの結晶の中に2色以上の色を含むパートカラー・トルマリン(またはバイカラー・トルマリン)、中心部が赤く、周囲が緑色のウォーターメロン(すいか)・トルマリンなどといったユニークな発色を示すものもあり、希少性も高いです。

●原産地
主生産国はブラジルですが、スリランカ、ミャンマー、マダガスカル、アメリカ、ロシアなど世界各地で産出されます。バイカラー・トルマリンはブラジル、ナイジェリア、アメリカなどで少量が産出されるのみです。

●ご購入チェックポイント
現在のところ供給が安定しており、サファイヤやルビーといったプレシャス・ストーンよりもお手軽に入手できるため、ファッション・ジュエリーとして気楽に楽しむことができます。たくさんのヴァリエーションの中でも、人気があるのはピンク、グリーン、ブラウン、そしてバイカラーです。ピンクはあまり色の濃すぎない、明るく若々しい色合いのものがよいでしょう。ブルーは「インディゴライト」とよばれるややグリーンがかった色味のものが珍重されます。グリーンは青みがかったピーコック・グリーンから若草のようなイエロー・グリーン、エメラルドにそっくりの鮮やかなグリーン(クロム・トルマリン)まで、もっとも豊富なレンジがあります。一般的に淡目の色が好まれますが、どの石も色の美しさと同じくらい、深みのある落ち着いた透明感を持つことが一番のポイントです。希少性の高いバイカラー・トルマリンは、バランスがよく、2色が同じ強さで並んでいるものを選びましょう。片方の色のコントラストが強いのは評価が下がります。


トパーズ

●特長
インペリアル・トパーズ 日本では黄金色透明石のイメージが強い石ですが、実際にはブルー、ピンク、オレンジ、レッド、無色といったさまざまな色合いがあります。黄色では、インペリアルと名づけられたオレンジがかったトパーズ、中でも熟成したシェリー酒のような渋い赤みの入った色合い(シェリー・カラー)のトパーズが最高とされます。かつてはパキスタンでごく少量が取れるのみだったピンク・トパーズも、処理法の発展によりシェリー・カラーから加熱して得られることがわかり、瞬く間に人気のカラーとなりました。最もポュラーなライトブルーは、安価に供給できるため、手軽なファッション・ジュエリーとして多用されています。

●原産地
質・量ともに充実しているのがブラジル、他にパキスタン、スリランカ、ミャンマー、ロシアなどが主要生産地です。

●ご購入チェックポイント
色はもちろんのこと、その透明感と強い輝きがチェックポイントとなります。硬度は8と高いですがダイヤモンド同様「劈開(へきかい)」という一定の方向にそって割れやすい性質がありますので、慎重な取り扱いが必要となります。



ペリドット

●特長
ペリドット 威圧感を感じさせない温かみのある黄緑色の魅力的なペリドットは、8月の誕生石としてすっかりポピュラーになりました。お値段もお手ごろなので、最近は大粒の石をポイントとしたハイセンスなファッションジュエリーも作られるようになりました。「イブニング・エメラルド」の異名が示すとおり、照明下では特に高い輝きを発しますので、カジュアルなパーティ・ジュエリーとしても人気があります。

●原産地
主要産出地はアメリカ、パキスタン、ミャンマー、ブラジルなどです。

●ご購入ガイド
一般的に色の濃いものが評価が高いですが、濃すぎてくすんだ色合いのものは避けましょう。透明度と輝きも大切です。硬度があまり高くないので(6〜7)表面にキズがつきやすく、劈開(へきかい:一定の方向に割れやすい性質)もあります。セミプレシャス・ストーンとはいえ扱いは慎重に。



水晶&めのう

●特長
「シトリン」「アメシスト」 水晶とめのうはともに「石英」の仲間ですが、水晶が単結晶なのに対し、めのうはごく小さい水晶の結晶体の集まりなので、水晶のような透明性をもたず半透明になります。どちらも古くからさまざまな用途で珍重されている宝石であることはいうまでもありません。
水晶:各色のヴァリエーションのうち、よく知られているのが紫のアメシスト、黄色のシトリン、無色透明のロック・クリスタル、半透明のピンクが人気のローズ・クォーツ、「エンジェル・ヘアー」と呼ばれる針状のインクルージョンの取り込まれたルチル・クォーツです。このうち、シトリンはアメシストを加熱して作られるものがほとんどです。他に最近ファッション・ジュエリーとして人気の褐色のスモーキー・クォーツがありますが、これもほとんど照射でつくられたものです。
めのう:大きくて均一な色のカルセドニー、帯状のストライプや複雑な模様のアゲート、そして白色の縞目が見られるオニックスの3種類に分けられます。ほとんどの石が調色のために着色されていますが、天然カルセドニーではやさしいグリーンの色合をしたクリソプレーズが人気です。着色しても結晶の密集している部分は着色されずに白く残ります。この色が2層になった部分を生かしてレリーフを施したものがカメオで、めのうはストーン・カメオの代表的な素材です。ちなみに、色の違う層を持つ貝を利用したのがシェル・カメオです。

●原産地
水晶はブラジル、マダガスカル、スイス、スリランカ、オーストラリア、アメリカ、メキシコ、めのうはブラジル、インド、ウルグアイ、ナミビア、南アフリカ、アメリカが主な産地です。

●ご購入チェックポイント
水晶は全体の透明感とインクルージョンとしてとりこまれた他の鉱物の結晶とのバランスが大切です。模様の出方は人それぞれの好みによりますが、あまり多すぎると全体が濁ってしまいます。めのうは、表面に光沢があり、色目や縞模様のくっきりとしているものを選びましょう。



さんご

●特長
血赤さんご 宝石として珍重されるさんごは、イソギンチャクやクラゲに似たコーラル・ポリープによって作られ、いわゆるさんご礁を形成する南の島のさんごとはまったく別種のものです。ポリープが集まってコロニーを形成し、石灰質を分泌してその足場をつくりますが、それが樹枝状のサンゴになります。最も珍重されるのはオックス・ブラッド、または血赤と呼ばれるムラのない赤色のさんごですが、最近とれるのはほとんど色の薄いさんごです。ヨーロッパでは「エンジェル・スキン」とよばれるピンク色のサンゴも好まれますが、これは日本では「ぼけ」と呼ばれています。その他、色によってさまざまな名前がつけられています。

●原産地
南西太平洋海域、地中海、日本近海が主な産地です。

●ご購入チェックポイント
全体的にムラのないツヤがあり、色が均一のものが評価されます。有機質の宝石ですから、一般的に「むし孔」とよばれる虫食いの跡が見られます。これはさんごにつきものの自然なものですが、キズやほこりから守るために通常、充填が行われています。最近は、薄い色のさんごを着色し「血赤」と称しているさんごも見当たりますので、注意が必要です。



こはく

●特長
こはく 古生代の松柏科の植物樹脂が、気の遠くなるような時を経て硬化し、化石化したものです。現存の植物の樹脂が硬化する場合もありますが、これはこはくとは区別してイミテーションとして扱われます。さまざまな透明度のものがありますが、宝石として評価されるのは一般的に透明で傷がないものです。良質のこはくは時間がたつにつれ、あめ色に変色していきます。このため、透明にしたり変色させたりするさまざまな処理が施されているものもあります。

●原産地
こはくの有名な産地はバルチック海沿岸です。他にロシア、ミャンマー、アメリカ、日本でも産出されます。

●ご購入チェックポイント
こはくも全体の透明感と取り込まれている内包物とのバランスがポイントとなります。生成過程の特長上、植物や昆虫をとりこんでいるものもあり、造形的に美しいものはより高い評価を受けます。

外観を美しくみせるための処理について

生まれたままの宝石の美しさを引き出すために、カットや研磨が行われることは言うまでもありませんが、宝石の種類によってはそれ以外に色や外観を整えるためのさまざまな人的手段が施されている場合があります。それを通常、処置の度合いや商取引における認容度にあわせて下記のように大別しています。

●エンハンスメント(改良)
基本的に、宝石が本来持っている潜在的な美しさを引き出す目的で使われる人的手段です。しかし、いくらエンハンスメントを行っても、もともとその潜在因子がそなわっていないものは改良効果は見られませんし、同じ処置が施されても、もともと与えられた因子に応じて改良効果が変わるのが普通です。したがって、エンハンスメントは以前から容認された処理法として業界では認知されていました。特に上に上げたカラー・ストーンにはそのほとんどにエンハンスメントが行われています。最近では、消費者に対する情報開示は世界的潮流となっており、日本でも規定が設けられ、1996年から実施されています。鑑別書には「天然○○○には一般的にエンハンスメントが行われています」の表記が入ります。
現在、一般的に行われているエンハンスメントは、以下のとおりです。

方法
目的
施される主な宝石
加熱
色を明るくする トルマリン(ブルー、グリーン)、ブルー・ゾイサイト
色を濃くする サファイヤ(ブルー、ゴールデン)
余分な色味を取り除く ルビー、アクアマリン、ブルー・ゾイサイト
含浸
無色ワックスなどにより光沢を出す ジェダイド
無色オイル、樹脂などにより透明度を高くする エメラルド、こはく
充填
無色剤で表面の小孔を充填する さんご

●トリートメント(改変)
その宝石がもつ本来の性質とは関係なく、いろいろな手段によって人工的に色や外観を変えてしまうのがトリートメントです。ゆえに、その効果は宝石本来の資質ではなく、本来の価値と改変後の価値に大きな差があることから、トリートメントの施された石は「処理石」として明確に区別すべき性質のものです。しかし、現時点ではどんなに精巧な鑑別・分析を行っても、自然のままの石か改変された石であるかを判断できない種類もあるのも事実です。私たちの業界の側も、正しい理解をもってきちんとしたわかりやすい表記方法をするよう努力していますが、お客様の方も信頼できる宝石店で、きちんとした説明を受けた上でご納得の上ご購入されるという姿勢が大切です。
現在、一般的に行われているトリートメントは、以下のとおりです。

方法
目的
施される主な宝石
コーティング
見かけのカラーをグレードアップする ダイヤモンド
ピンク色に見せる ダイヤモンド
より濃い色に見せる エメラルドなど
着色(染色)
無色や白い石を色素により着色する オパール、ジェダイド、さんご、真珠、トルコ石、ラピスラズリなど
照射
無色の色を着色または改変 ダイヤモンド、真珠、ベリル、トパーズ、トルマリン(レッド、ピンク)
表面拡散
無色の石を着色 サファイヤ、ルビー
加熱
色を改変 オパール(白を黒くする)
含浸
有色剤により色を改変 エメラルド、ルビー、サファイヤ、オパールなど
無色剤により透明度や靭性を改変 ジェダイド、トルコ石
充填
表面の欠けや窪み、内部の空隙に対する充填 ルビー、サファイヤ、エメラルド


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